フェンシングつれづれ(RENEWAL)

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リオ五輪・女子サーブル団体

・女子サーブル団体 8/13 1回戦
RUS 45V−31 MEX POL 43−45V USA
FRA 36−45V ITA KOR 40−45V UKR

・予備戦 MEX 23−45V POL FRA 40−45V KOR

・準決勝 RUS 45V−42 USA ITA 42−45V UKR

・7決 MEX 45V−38 FRA
・5決 POL 41−45V KOR
・3決 USA 45V−30 ITA
・決勝 RUS 45V−30 UKR

女子サーブル団体決勝で第1シードのロシアが第2シードで2008年北京大会金メダルのウクライナに45−30で勝ち、初優勝した。(共同)

等身大のヘジャブ剣士 米・ムハンマド

 オバマ大統領は言った。
 「金メダルを持ち帰ってくれ」
 でも父は違った。
 「メダルなんていらない。五輪に出ただけで、お前はもうチャンピオンなんだ」
 フェンシング女子サーブル団体で米国が銅メダルを獲得した。各国4人が出場するこの種目、米国の主力はイスラム教徒のイブティハジ・ムハンマド(30)だった。戒律に従い髪をヘジャブで覆った女性が米国代表として五輪に出場するのは初めて。それで注目を浴び、オバマ米大統領から直接激励され、テレビの人気トークショーにも出演した。一躍、時の人になった。
 ムハンマドは13歳でフェンシングに出合った。イスラム教徒が肌の露出を心配せずに済むスポーツは限られる。マスク(面)をかぶり、素肌が出るのは手のひらだけのフェンシングなら大丈夫だと、両親が勧めてくれた。
 有名人になったムハンマドは「私の置かれた立場を利用し、さまざまな誤解を解く務めがある」と五輪の抱負を語っていた。ヘジャブをかぶった黒人女性が星条旗を背負って戦う姿を、全世界の人々が目にする。ムハンマドはフェンシングの相手だけでなく、世間にはびこる偏見とも戦った。それはメダルを取るより意義深いことだと、父シャムセディンさん(64)は娘に言い聞かせた。
 だからといって優等生を演じるムハンマドではなかった。判定に不満があると何度でも試合を止め抗議する。判定が覆らないとマスクを床に投げ捨て審判をにらみつけ、観客のブーイングを浴びる。得点が入ると、のけぞって派手なガッツポーズと雄たけびを上げる。チームが劣勢になると半べそになる−−。
 自由奔放で憎めないムハンマドはフェンシングの腕が立つ点を除けば、どこにでもいる喜怒哀楽の感情を持った若者だ。4年前のロンドン五輪では代表から漏れた遅咲きの選手。イスラム教への風当たりが強くなったいま、時代に求められ現れたヒロインだった。【朴鐘珠/毎日】
 なお、ムハンマド IBTIHAJ MUHAMMADは女子個人サーブルは12位。米大陸選手権個人優勝。世界ランキングは8位から、五輪の結果7位に上昇。