フェンシングつれづれ(RENEWAL)

フェンシングつれづれ(はてなダイアリーより移行中)

フェンシング名将“剣の夢”再び 大垣養老高に同好会

 記事は9/4岐阜新聞より。
 国公立の話でもちらっと書いたけど、高校の場合は「指導者がその高校に赴任する」みたいな普及の例もある、と。

 フェンシング王国岐阜の礎を築いてきた渋谷晴雄監督(54)が、今春赴任した大垣養老高校(養老郡養老町祖父江)で同好会を立ち上げた。選手は現在、1、2年の女子4人だが、数え切れない選手、指導者を育ててきた“名将”の下、目指すのは「全国制覇」。まずは初の公式戦となる10月の西濃地区総体に向けて、旧養老女子商業高校(同町押越)体育館に開設した道場で練習に励んでいる。
 渋谷監督は赴任した羽島北、大垣南、揖斐全てで日本一に導き、優勝は団体、個人合わせて15回を超える。選手も五輪出場の新井祐子さん、長良将司さんをはじめ各世代の日本代表が30人超。それぞれが指導者としても活躍している。指導だけでなく赴任各校で道場を開設し、環境整備にも力を注いできた。「県内の高校に指導者は9人いるが公立高校でフェンシング件部は4校のみ。指導者になった後輩が活躍できる場を−と考えていた」と大垣養老高校への赴任を機に、同好会発足を思い立った。
 今年5月、運動能力の高い1年大川玲奈さんとの出会いが構想を一気に加速させた。渋谷監督が籍を置くサッカー部のマネジャーで1年の澤綾華さんと2年の梅田里花さん、前任の揖斐高校フェンシング10+ 件部に双子の妹がいる2年の藤原由千佳さんの4人とともに夢をスタートさせた。部のないゼロからのスタートは初めての経験。自費での道具購入や道場整備には限界がある。教え子たちが指導する高校、大学から道具を譲り受けたり、借りて整えた。
 指導でもゼロからの苦労に直面。競技経験のある先輩がいないため、選手だけでは練習が一歩も進まない。だが、渋谷監督を知る者は目を疑うほどの優しい言葉と笑顔で根気よく、基礎から何度も教え込む。選手たちも渋谷監督の情熱に応え、練習に打ち込む。「すごい指導者に教えてもらえる幸せをかみしめ、フェンシング件にのめり込んでいる」「少しずつ強くなっているのを実感する」と充実した日々を過ごす。
 養老町は渋谷監督が生まれ住む町。「地元へ恩返しの思いもある。ここから五輪選手を」と意気込み、「周囲の皆さんのおかげで新たなスタートが切れた」と感謝する。全国制覇ははるかな道のりだが、練習に励む選手たちの瞳は、力強い一歩を踏み出し輝きに満ちている。