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アスリート交差点:限界に挑む(千田健太)

 千田健太毎日新聞への連載って、毎月1回のペースで掲載されてきたんだけども、全文掲載されることがなかったのと(全文掲載のためには要会員登録だった)、あとこういう(五輪への)具体的なこと(当blogでは今までさんざん書いて来たことではあるが)が記事として出るのは今までなかったので全文貼り付けておく。

アスリート交差点:限界に挑む 五輪懸けた戦い幕開け=フェンシング・千田健太
毎日新聞 2015年06月19日 東京朝刊

 4月からリオデジャネイロ五輪出場を懸けた戦いが始まった。これから今月25日開幕のアジア選手権シンガポール)、7月の世界選手権(モスクワ)と重要な大会が続く。この2大会の結果で五輪出場の可否が決まると言ってもいい、重要な大会だ。目指すのは団体種目の出場権。獲得できれば個人種目にも3人が出場できる。
 男子フルーレは2008年北京五輪太田雄貴(森永製菓)が個人で銀メダル、12年ロンドン五輪では僕らが団体で銀メダルを獲得した種目。この流れを途切れさせてはいけないが、今回は五輪出場さえも厳しい、いばらの道だ。
 団体は来年3月時点での世界ランキングの上位4カ国のほか、5〜16位以内に入ったアジアなど各地域の最上位が出場できる。4年前はイタリアや中国などの強豪国に交じり、日本も世界ランクの上位につけ、アジアの2番手でも出場できたが、今回は勢力図が大きく変わった。米国やエジプトなど欧州以外も強くなり、開催国のブラジルもフランス出身の選手が国籍を取得するなど侮れない。日本は現在、世界ランク8位。4位の中国、6位の韓国に続くアジアの3番手。韓国を抜くだけでなく、中国を倒すつもりで戦わなければいけない。中国が4位以内に入る保証はどこにもないからだ。
 時間を費やすようになったのが、相手選手の対策だ。今春からは毎週2回、ライバル国の試合映像を見ながら選手同士で話し合うミーティングを実施しているが、その効果は大きい。例えば、5月にロシアで開催されたワールドカップ(W杯)のエジプト戦。剣を外して構えることで、相手の距離感を狂わせる作戦がうまくいった。どんな強い選手にも負ける時には傾向があるもので、みんなで映像を見ながら探った。
 アジア選手権の目標は優勝。スピードが武器の韓国にはロシアのW杯で勝ったが、エースがけがで出場しなかった。今回は100%の状態で来るはず。冷静にカウンターで仕留めたい。中国は技術にたけ、個人戦でも優勝できる実力のある選手がそろう。我慢しながら好機を狙いたい。今後の五輪レースで優位に立つためにも、絶対に負けられない。