フェンシングつれづれ(RENEWAL)

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インターハイ2日目

 インターハイ2日目

・男子個人フルーレ 準決勝
大石 利樹(大分豊府)13V−12 長島 徳幸(安来)
鈴木 一平(龍谷大平安)15V−13 伊藤 真(大垣南)
*伊藤は連覇ならず

・女子個人フルーレ 準々決勝
世利 紗七美(福岡魁誠)9V−3 永瀬 夏帆宮城学院

準決勝
川村 理紗(揖斐)15V−8 世利 紗七美(福岡魁誠)
皇甫 蘭(大分・岩田)8V−7 高橋 風子(聖霊
*高橋も連覇ならず

・男子個人フルーレ3位決定戦 伊藤真(大垣南) 15V−9 長島 徳幸(安来)

・決勝 鈴木一平龍谷大平安)15V−0 大石利樹(大分豊府)

・女子個人フルーレ3位決定戦 高橋風子(聖霊女短大付)11V−10 世利紗七美(福岡魁誠)

・決勝 川村理紗(揖斐) 8V−7 皇甫蘭(岩田)

 フェンシング男子フルーレ個人で、龍谷大平安(京都)・鈴木一平(3年)が初優勝を飾った。同校にとって、北京五輪銀メダリスト太田雄貴(25)以来8年ぶりの個人タイトルになる。偉大な先輩とプレースタイルは異なるが、179センチの長身と高い潜在能力は無限の可能性を秘める。太田の後継者として将来が期待される。
 鈴木の初タイトルは相手の大分豊府・大石利樹(2年)の途中棄権で転がり込んできた。先行を許したものの、立て続けにアタックを決めて追いついた直後だった。鈴木は「最後のインターハイで優勝を狙っていたのでうれしい。それだけの準備はしてきました」と胸を張った。積み重ねた練習で得た自信と体力が、決勝の大舞台で発揮された。
 自分の特徴に気づいてから飛躍的に成長を遂げた。179センチの長身に加え、長いリーチを生かしたプレースタイルに目覚めた。「自分の間合いでリーチを使ってプレーすれば負けない」。相手にとって遠い距離でも自分には攻撃エリアだった。受け身に回っても冷静に攻撃をさばき、確実にポイントを重ねた。竹内智一監督は「やっと才能が花開いた。リーチや身長、細身の体形。素質はあったのに自分でそれが分かっていなかった」と目を細めた。
 日本フェンシング+史上初の五輪メダルをフルーレ個人で獲得したあこがれの先輩太田と同じタイトルを手にした。大会前の合宿には太田が訪れ「インターハイでがんばってこい」とエールを送られたという。感情を表に出さない控えめな鈴木も、太田からのげきには感じるものがあった。合宿では龍谷大平安OBたちの胸を借りて「今までで一番練習した」と万全を期し、史上初のインターハイ3連覇を果たした03年の太田以来となる個人優勝を同校にもたらした。
 竹内監督は「とてつもない素質を持っている。五輪でメダルを取れる」と将来性に太鼓判を押した。鈴木は「オリンピックより目の前の試合を1つ1つ勝っていきたい。次は団体を取りたい」。同じく03年以来の個人、団体制覇は、鈴木が原動力になる。【日刊スポーツ】

 フェンシング男子個人フルーレで2連覇を狙った伊藤真(大垣南)は3位に終わった。
 延長戦も残り5秒。相手が攻め込んだ後の一瞬の隙を見逃さず、渾身(こんしん)の突きが相手の右腹部に決まった。女子個人フルーレで初優勝した川村理紗(揖斐)。「高校生が憧れる舞台で勝てて本当にうれしい」と初優勝の味をかみしめた。
 体調は万全ではなかった。「前日の予選の朝には38度の熱が出ていた」と明かした。 それでも川村を突き動かしたのが、インターハイという舞台。昨年も優勝候補の本命として挑みながらも、決勝トーナメントに進出する8人を決める段階で格下に不覚。「序盤にリードされて焦ってしまっていた」。
 その教訓は1年後同じ舞台で生かされた。決勝は序盤から相手の展開。一時3―7までリードされるなど苦しい試合に。それでも「昨年と違って焦る気持ちは全くなかった。焦らないことが勝利への近道だと信じていた」と、相手が引き気味になった所で果敢に攻め込み、7―7とし延長戦へ。
 延長戦開始前、1分間で決着が付かない場合、優勝する権利が相手に与えられ、再び追いかける立場に立たされた。そんな時、背後から「いってやれ」という渋谷晴雄監督の勝負どころでいつも掛けるという一言。「最後の最後まで絶対にあきらめなかった。それが残り5秒で生きた―」。勝利が決まると監督と抱き合い、大粒の涙を流した。
 それでも表彰式直後には「オリンピックに出たい」。昨年のリベンジを果たした18歳の視線の先には、さらに大きな目標が定まっていた。(岐阜新聞)