フェンシングつれづれ(RENEWAL)

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唯一の女性 夢ジャッジ 審判32人中『平常心で判定を』

 日本人女性初のフェンシング国際審判員、中田玲子さん(43)=東京都練馬区=が、五輪では初の審判を北京で務める。しかも三十二人の各国審判員の中で唯一の女性。メンタル面など自ら挫折を克服してきた実績を糧に、「五輪でも平常心で判定したい」と本番を心待ちにしている。

 中田さんがフェンシングと出会ったのは高校一年の時。中学まで陸上の短距離選手だったが「華麗な雰囲気にひかれて」。二十二歳で全日本選手権を制するなど活躍したが、五輪出場はかなわず、三十五歳で引退した。
 「練習で勝てても本番では勝てない。メンタルが弱かった」。周囲の勧めで引退後に転身した審判でも、メンタル面では試練の連続だった。
 電気審判機を導入するフェンシングは競技の性格上、微妙な判定が多く、反則の有無など審判は常に難しい判断を求められる。二〇〇一年に国際審判員となったものの、「女性ということで選手から文句を言われ、布団の中で泣いた日もあった」と振り返る。
 それでも「最後は私がやらなくてはという使命感だった」。毎回震えるようなプレッシャーに耐え、世界選手権やアジア大会など数々の国際舞台を経験。次第に選手からの信頼も厚くなり、今回、国際フェンシング連盟から日本人でただ一人、五輪審判の指名を受けた。
 「選手全員にけががなく、無事競技が終わってほしい。ミスをせずにフェアなジャッジをするため、集中して準備を整えたい」
 中田さんの母校で、コーチも務める東京女子体育大のフェンシング部は七月、同大卒業生で北京五輪に出場する原田めぐみ選手(29)=女子エペ個人=と中田さんの壮行会を武蔵野市内で開き、激励した。
 モスクワ五輪(日本不参加)代表だった同部監督の渕川晶子さん(53)は、中田さんに対して「電気審判機があっても、どちらが先に攻撃したかなどを周囲に影響されずに判定するのは難しいもの。本番でも力を発揮してほしい」とエールを送っている。(東京新聞)