フェンシングつれづれ(RENEWAL)

フェンシングつれづれ(はてなダイアリーより移行中)

優勝者記事その2.

 日刊スポーツ東北版より。その1 その2 さらにもひとつ、中日新聞岐阜版。

 フェンシングで東北勢がアベック優勝を飾った。女子エペで坂野友里(山形・米沢東3年)が予選プールから全勝で勝ち進み、決勝も相手に1度もリードを許さない巧みな試合運びで15−12と勝利。昨年3位に終わった悔しさをバネに、最後の夏に栄冠をつかんだ。男子サーブルは志賀澄人(宮城・仙台南3年)が初制覇を果たした。

 15点目の突きが決まると、坂野はマスクの下で叫んだ。「ヤッター!」。振り返って沼尻芙美子監督(33)の顔を見たら、涙が止まらなくなった。1年間、待ち続けていた瞬間だった。

 昨年のこの大会で3位に入った。高校から競技を始めた選手には上出来とも思えるが、本人の気持ちは違った。「焦って攻めて、逆にポイントを取られた。思い切り行くだけではダメだった」。剣のスピードで勝っていても、勝負の駆け引きで負けていた。それが悔しかった。

 1年の冬、競技歴9カ月でJOCカデ(14〜16歳)のエペを制した。順調に成長していたはずが、大きな壁にぶつかった。ひたすら前へ出るのではなく、誘い込んで裏をかく。自分のリズムに持ち込むことが、勝利への道と再認識した。相手をしっかり観察し、頭と体をフル回転させた今大会。予選プールから8戦全勝で日本一へ駆け上がった。94年から始まった女子エペで東北勢の優勝は初めてのことだ。

 標的が胴体部分だけのフルーレ、上半身だけのサーブルに対し、エペは全身が有効面。実力者同士の攻防は、より緊迫したものとなる。「その心理戦が魅力。自分のランプが付いたときはうれしい」。うれし涙でぬれた顔に、いつもの笑みが戻った。

男子サーブルは志賀澄人(宮城・仙台南3年)が初制覇を果たした。

 志賀は準決勝を1ポイント差で競り勝ち、決勝も11−11の接戦にもつれ込んだ。しかしこれが自分のペースだった。「途中までは相手の出方を見ればいい」。焦りはなかった。そこから4点を連取。一気に勝利を決めた。

 「読み勝ちですね」と胸を張った。8−8となったところで、器具不調のためにピストを変更するハプニングもあった。だが集中力は切らさなかった。持ち味のフットワークで相手を揺さぶり、勝負どころを逃さなかった。

 小6のころ、母親がかかっていた歯科医がフェンシング関係者だったことからスカウトされた。中学には部がないためバドミントン部に所属したが、学外のクラブで剣を磨いた。競技開始から7年目でつかんだ高校王座。「でも日本ではフルーレがメーン。そっちも頑張りたい」。来春進学を希望する志賀は、新たな目標に向かう。

…フェンシング男子サーブル決勝に勝ち進み、岐阜県勢十年ぶりの優勝を狙った立川雄介選手(大垣南)。国際大会などでも活躍する強敵の志賀澄人選手(仙台南)を11−11まで追いつめながら敗れ、「できれば優勝したかった」と悔しい表情。フェンシングを始めたのは一昨年十月からで、伊藤一人監督は「よく足が動いていたが、最後は経験の差が出た」と振り返った。

 立川選手を指導したのは、県勢で十年前に優勝を飾った長良将司コーチで、昨年はアテネ五輪に日本代表として出場した実力者。立川選手は、目標とするコーチの記録には及ばなかったが、「明日の団体、秋の国体では優勝したい」とさらなる飛躍を宣言した。