フェンシングつれづれ(RENEWAL)

フェンシングつれづれ(はてなダイアリーより移行中)

優勝者記事

 記事はいずれも河北新報(8/10)より。
(松戸運動公園体育館)
 ▽男子サーブル決勝
志賀澄人(仙台南) 15−11 立川雄介(岐阜・大垣南)

<相手の攻め見切る>
 相手の攻めをかわし、自分の間合いを取る。一気に飛ぶように前に出て、サウスポーからの突きを決めた。決勝のラスト1点は得意の形だった。15−11。「人生で一番うれしい」。上気した顔で振り返った。
 一進一退で11−10の局面。スタートと同時にお互いにアタックをかけ、剣がぶつかり合った。相手の攻めが一瞬速く、追いつかれたが、心は驚くほど落ち着いていた。
 「このとき、自分の戦い方を決められた」。再開直後の攻め合いは、相手に分がある。ならば、正面から攻め合わず、フェイントをかけよう―。作戦は見事に当たり、12点目から4連続得点で快勝した。

 小学5年で競技を始めると、瞬発力のある脚力を生かして上達。中学で国際大会を経験、高校1年では世界ジュニア・カデ選手権にも出場した。
 だが昨季、スランプに陥る。研究されたことで、身体能力に頼った戦い方では勝てなくなっていた。「こんなに練習しているのに…」と腐りかけたが、相手の動きを徹底的に考えるようになったという。
 努力が結実しての初優勝。渡部監督は「大舞台で相手をしっかり見ていた」とたたえる。
 「苦しい時期もあったが、周囲に支えられてここまで来られた」。戦いが終わり、さわやかな笑顔を見せた。173センチ、64キロ。3年生。仙台市出身。(安達孝太郎)

◎巧者・坂野(米沢東)V 女子エペ

 ▽女子エペ決勝
坂野友里(山形・米沢東) 15−12 増田朋美(埼玉・埼玉栄

<相手の動き冷静に読む>
 泣きながら、笑っていた。決勝戦、15−12と快勝すると、人目をはばからず大粒の涙を流した。「うれし涙ってこういうものなんだって、思いました」
 作戦が的中した。自分の準決勝が早めに終わり、決勝の相手・増田(埼玉・埼玉栄)の準決勝の戦いぶりを見つめていた。沼尻監督がささやく。「相手は剣をたたくと、払い返すくせがある。そこにすきができる」
 決勝の試合開始直後。ポイントは双方に付いたが、狙い通りに1点目を挙げた。「いける」。剣をたたく以外にも、引くところは引いて、相手を誘い出す巧みな動きがさえた。

 167センチ、58キロの恵まれた体格。長いリーチで的確に突き続け、結局、一度もリードされることなく頂点にたどり着いた。「相手が、自分の思った通りに動いてくれた」と振り返る。
 昨年のインターハイは、同種目で2年生ながら3位。健闘だったが、「駆け引きが出来なくて、優勝に届かなかった」と反省した。以来、帰郷したOBにも相手になってもらい、駆け引きを重点的に練習し、力をつけた。「1年前の悔しさのおかげで、今の自分がある」。晴れ晴れとした表情で締めくくった。米沢市出身。(安達孝太郎)