<クロストーク>五輪選手育成に全力 JOCフェンシング強化コーチ 相場平光(8月18日 05:00、下野新聞)
栃木県フェンシング協会副理事長の相場平光さん(44)がこのほど、日本オリンピック委員会(JOC)から強化コーチを委嘱された。2012年ロンドン五輪に向けたコーチング陣(ジュニア担当)の一員として、五輪選手の育成などに全力を注ぐ。相場さんに抱負を聞いた。
−フェンシング競技では、県内で初めての大役を委嘱されました。
「前回北京五輪で太田雄貴が日本で初となる銀メダルを獲得し、ロンドンではフルーレ以外の各種目でも活躍が期待されている。エペ専属コーチなので、2年後にロンドン五輪で活躍する選手を、一人でも多く育成できるように頑張りたい」
−他の種目と比べてエペの特徴は。
「攻撃権があるフルーレやサーブルに対し、エペは一番単純な種目。頭からつま先まで全身、どこを突いてもポイントとなる。イメージとしてはボクシングに近く、独特の緊張感がある。日本ではフルーレが主流ですが、世界では一番、出場選手が多い種目です」
−コーチとして、何を重視していますか。
「特に持久力と腕力。ヨーロッパを中心とした外国人選手は身長も高く、パワーも違う。エペで使う剣は重い。外国人は振りの早さ、剣のしなり方一つをとっても全く違う。その差を埋めないと太刀打ちできない。日本人は終盤に差し掛かるにつれて運動量が落ちてしまう。普段の練習メニューでは、サーキットトレーニング的な要素を取り入れている。代表選手は来年1月に決定するので、それから本格的な指導に入る予定です」
−4年ほど前から、日本協会の強化コーチも務めています。
「(ジュニア日本代表で国学栃木高出の)萩原宏樹を教えるようになったのがきっかけ。今年3月のアジアジュニア選手権では指導した3人(萩原、星野貴智、伊藤心)が代表となり、団体、個人の両方で銀メダルを獲ってくれた。選手を個別に見て、その子に合ったアドバイスを心掛けてきたが、その指導法がうまくはまった。その実績が評価され、今回の委嘱にもつながったのだと思う」
−県内では宇都宮フェンシングの代表も務めています。
「残念ながら競技人口は年々減ってきていますが、全国中学生大会で上位に入る有望な選手もいます。ジュニアの育成に力を入れて、県内から五輪で活躍するような選手を育てたいですね」
あいば・ひらみつ 1965年生まれ。城山中−宇商高−専大卒。高校3年時には関東大会で団体優勝、国体少年で団体準優勝に貢献した。2006年から、日本フェンシング12件協会のジュニア担当コーチを務めている。宇都宮市在住。44歳。