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高円宮杯、太田雄貴優勝!

 フェンシング男子の高円宮牌ワールドカップ(W杯)東京大会第2日は15日、東京・駒沢体育館でフルーレ個人の決勝トーナメントを行い、北京五輪銀メダルの太田雄貴(森永製菓)が決勝でバレリオ・アスプロモンテ(イタリア)を15−5で下して優勝した。
 太田は準決勝までの5戦を危なげなく制し、決勝でも終始リードを保って完勝した。
 このほかの日本勢では準々決勝敗退の三宅諒(慶大)が8位だった。(共同通信)

 東京開催で表彰台の真ん中は格別だった。W杯で通算3勝目を挙げる太田だが「今までにない最高の勝利を味わえた」と声を震わせ、ファンらの大歓声に酔いしれた。
 攻めの姿勢を貫いた。決勝までの6戦は、ほぼ前半でリードを奪う作戦で圧倒。2ケタ得点を許したのは3回戦だけだが、4月に右ひじを傷めて練習不足のうえ、風邪気味とコンディションは悪かった。痛み止めを飲んでの強行出場に「体力を使わずに上までいけた」ことを勝因に挙げた。
 昨季、国際連盟の世界ランキングで日本人初の1位となり、北京五輪がまぐれでないことを証明した。その一方で、約2週間前の上海グランプリでは2回戦で敗退し「ランキングを落としてはいけない恐怖感」にも苦められた。心身とも万全ではない状態からの復活は太田にとって大きな自信となる。
 「何で勝てたのか分析して、技術も精神面ももっと上を目指したい」。伸び盛りの24歳の大目標はロンドン五輪だが、その前に11月の世界選手権制覇を見据える。(MSN/産経)

 雄たけびを上げた。左手を突き上げた。この大会初優勝を決めた瞬間、太田が全身で喜びを表現した。スポットライトと歓声に酔いしれた。
 「どうして優勝できたのか。予想もしなかった」
 3月、右ひとさし指を剥離(はくり)骨折と診断された。4月、指をかばってフォームを崩し、右ひじを痛めた。優勝の期待を一身に背負う国内大会には苦手意識もあった。この日の準々決勝でも、ロシア選手に4点を先取された。
 そこで開き直った。がむしゃらに攻め続けた。「コーチから『きれいに攻めすぎている』と言われたから」。逆転に成功すると、表彰台の一番上まで駆け上がった。
 日本代表の岡崎監督は言う。「試合途中で攻め方を変えるのは難しい。本人の強い意志と技術があったからできた」。重圧のかかる国内の大舞台で、精神的にも技術的にも成長の証しを見せつけた。
 苦手のこの大会を制し、次のターゲットは決まった。「ロンドン五輪も大切だけれど、パリの世界選手権(11月)も大事。気持ちを高めていきたい」(朝日)